2015年5月14日木曜日

日めくり法話10 自分を相手に同化させる

「人生論で言えば、日本の古い言葉に、
  子供叱るな、来た道じゃ。年寄り笑うな、行く道じゃ。
というのがあります。(略)
この『子供叱るな』は、叱る前によく観察をしてみなさいということです。この観察とは、自分を相手に同化させる、つまり子供の気持ちになってみなさい、あなたも子供の時はよくいたずらをしたでしょう、ということ。そうすれば、小言の言い方も違ってくるのです。『年寄り笑うな、行く道じゃ』は、自分より年配のものを見たら、私も年をとったらあの姿になるのだと、一人称で相手を観察しなさいということ。そう観察すれば自然に思いやりの心が生れてきます。これこそが仏のこころなのです。(略)
これは会社の上下関係にも適応できる言葉ではないでしょうか。上司は部下に、先輩社員は後輩に対して、この気持ちをもちながら接することが大切です。『俺は部長なんだ』とふんぞり返っていては人はついてこない。部下の恩、目下の者の恩を知ろうと努力しない人物は、ちょっとした失敗がきっかけで失脚してしまうものです。『孤立自存』タイプの人間に、大きな仕事はできません。
『自分さえよければ式』の人物は、時に慢心し、人生の晩節を全うすることは難しいようです。


「足るを知る」こころ/松原泰道/プレジデント社

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