2015年8月7日金曜日

利行とボランティア活動

ボランティア活動に関わる方々から多くの学びを頂きます。

地域を少しでも良くしたい。それには地道な労を惜しまない方ばかり。

ルールだ、コンプライアンスだ、ガバナンスだ、という議論が何よりも大事であるかのような風潮に疑問を持たない方が多いと感じますが、一方でそれが社会の不寛容化に拍車をかけていないか。

それ以上に、人として大事なことを皆さんの取り組みや活動理念から思いださせてくれることに感謝です。

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…と、そんなスピリットに触れるたびに想起されるのは、仏教でいう「利行」です。

道元禅師「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」の菩提薩垂四摂法(ぼだいさったししょうぼう)では、「布施」「愛語」「利行」「同事」の四つを説きますが、その「利行」における考え方が、まさに活動の精神の本質を表しています。

『思わくは利侘を先とせば自らが利省かれぬべしと。爾(しか)には非(あら)ざるなり。
利行は一法なり、普(あまね)く自侘を利するなり。』

というくだりがあります。

他を利することを優先すると自分は損をすると思いがちだが、決してそうではない。利行とは他人と同様に自分にも利を与えてくれるものである、ということです。

「自他一如」という仏法の根本原理。
行動・活動には、必ず「自分のため」という要素があります。
しかし、「自分(たち)だけのため」ではない、という視点が大切ではないか。

もっと言えば、何も「ボランティア」と称して活動する必要はなく、日々の生活のあらゆる選択の場面における判断を、目先の損得勘定ではない「利行」の理念を持ってブレなければ、その実践は不寛容を寛容へ、そして「普く自侘を利する」生き方になる、と自分は信じています。