2006年7月5日水曜日

【山家学生式】

日本仏教は比叡山延暦寺を母として皆誕生してきたといって過言ではありません。
その本家本元天台宗の開祖傳教大師最澄の代表著作からの経文「山家学生式」は、国宝というキーワードを用いて、大乗仏教の「忘己利他(もうこりた)」の精神を説きます。

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国の宝とは何物ぞ。
宝とは道心なり。
道心ある人を名づけて国宝と為す。
故に古人言わく、
径寸十枚、是れ国宝にあらず、
一隅を照す、此れ則ち国宝なりと。
古哲また云わく、
能く言いて行うこと能わざるは国の師なり、
能く行いて言うこと能わざるは国の用なり、
能く行い能く言うは国の宝なり。
三品の内、唯言うこと能わず、行うこと能わざるを国の賊と為す。
乃ち道心あるの仏子、
西には菩薩と称し、東には君子と号す。
悪事を己に向え、好事を他に与え、
己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり。

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総本山中の総本山ともいえる傳教大師最澄開山の比叡山延暦寺の読経CDからの一つ目となる。天台宗は「円・密・禅・戒の四種相承」というだけに、何でもありというイメージで、逆に天台宗ならではというものが見えてこないという印象ですが、この山家学生式は最澄の代表著作のエッセンスであり、「国宝」というキーワードがちょっと目新しく平安仏教らしい発想も伺え、しかし「大乗」仏教のまさに日本の夜明けという強い決心が伝わってきて感動的であります。(2006/06/14)

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